自然と共生する森の幼稚園 狭山ヶ丘幼稚園のトップ > ブログ
2025.05.29
狭山ヶ丘幼稚園は、里山のような小高い森の中にあります。子どもたちは、日頃から高低差30mほどの坂道を上り下りして生活スペースの保育室まで辿り着くのです。その坂道に水が流れる不思議さやどんぐりなどの木の実や石ころを転がす面白さを感じて遊んでいる姿があります。 令和6年度は、保護者の方にも協力を頂き、新たに築山を小高くして隣接する砂場に山砂と川砂に分けて砂を運び込み、環境を整えました。 子どもたちは、坂道の面白さが砂場遊びに反映され、 仲間と関りながら 面白さ・不思議さ・工夫する楽しさを感じて遊びがより深まっていくことを願いました。
《築 山》
夏休みに保護者の方と職員が協力して、山砂・川砂を入れて整備した園庭。
活動スケジュール① 新しい遊び場を知る(9月)
山砂の感触を確かめる子どもたち。「なんかくっつくねぇ~」
築山に上り「たかいよ!」ワクワクする言葉が飛び交います。
活動スケジュール② 砂の感触を味わう(9月)
初めて出会った山砂の感触。「ギュッとすると固まるよ」「そっと濡らしてさらさら砂をかけたらもっと固まる」 毎日作り続けカップに入れてそっと隠している子どもたち。しばらく置いておくと…「うわっ カッチカチ」
活動スケジュール③ 遊び込む『築山①』
坂道の多い幼稚園。とても高い築山から「すべりたい!」と子どもたちの声が上がりました。保育者は、ヒントに段ボールを出してみました。子どもたちは、勢いよくのイメージを持っていたようで「あまりすべらないなぁ」と段ボールを触って、ツルツルとツルツルを重ねてみていました。
活動スケジュール④ 遊び込む『築山②』
保育室でカラーポリ袋を使ってメロンのような玉(球体)を作ってきた子どもたち。何やら相談してみんなが築山に上ると…次々にメロンの玉を転がし始めました。上から下の斜面の動きを利用すると面白いと考えたようです。滑る遊びから転がし遊びへ!
活動スケジュール⑤ 遊び込む『築山③』(10月)
段ボールの滑り台遊びをきっかけに上から下へ滑る楽しさを味わった子どもたちの興味は、何が良く転がるか『転がしごっこ』に関心が移って来ました。トイレットペーパー芯・紙コップ・石ころ・泥だんごと次々に試しています。トイレットペーパー芯は「はやい!」紙コップは「曲がって(道路に)落ちたぁ~」石ころは「コロコロするぅ~」 ついに以前作ったカチカチの泥だんごもこの転がし遊びに使われています。そして、割れないことに驚くのです。挙句の果てには 、水道パイプも試すことに。段ボールの滑り台遊びで走路が出来ている場所を選んでいます。これをきっかけに今まで砂場の環境として出しておいた竹製の樋や水道パイプに興味を持つ子どもたち。ついに興味は築山から砂場に繋がることになりました。
繋がったパイプの中をあらゆる物を転がしてみるようになりました。砂を撒いてみると滑って行き、石ころをコロコロさせると、「あれれ?」石の弾む力に繋げた水道パイプも石と一緒に動いてしまいました。 「だめだぁ~」「何かで(パイプを)とめないと」と口々に言い悩んでいる子どもたち。保育者が「何でとめるの?」と聞くと「セロテープ!」と答えていそいそと保育室から運び貼り付けていました。 今度は水を流してみると…失敗。「セロテープは水には弱いんだ~」と言うことに気付いて、ガムテープを運び貼り直して再挑戦です。いよいよバケツに水を汲んできました。流すと…「やったー」成功したことに大満足!子どもたちは粘り強くやり遂げました。
活動スケジュール⑥⑦ 遊び込む『砂場①』(10月)『砂場②』(11月)
活動スケジュール⑧~⑩ 遊びこむ『砂場(川砂)』(12~2月)
竹製の樋を長くつなげる経験をしてから、川砂の遊びも活発になって来たので、砂場の環境も今一度整え直しました。
【環境設定】
・存分に遊びこめるようにたっぷりとした時間を作る。
・存分に遊び込めるようにたっぷりとした時間を保障する。
【用意したもの】
・竹製の樋 ・水道パイプ ・バケツ
・じょうご ・大型スコップ ・ねこ車
川砂は、水の吸収が良く、サラサラしているので裸足になると感触が気持ちいいようです。まるで、鹿が跳ねているかのように飛び上がって砂場に来ます。樋を何本も道路のように繋ぎ出しました。でも、樋を繋ぐ部分を上手く重ねるのが難しい。
「ここをこうして」「同じ大きさを重ねるんじゃないんだよ」「合う大きさを探すよ」とあれこれ友だちと考え工夫しています。
「水を流すぞ~」とポットやらフライパンやらに水を入れて運んでいます。
「あれぇ~??」流すたびに樋が水の勢いでずれてしまう。子どもたちは茫然。しばらくこの難関は続きましたが、保育者はあえて声を掛けず見守っていました。
「そうだ。砂で固めれば?」「いいね!」
試行錯誤のうえ、子どもたちでそんなアイディアを思いつき、水の流れは築山から川砂の水路遊びへと広がり、今でも続いています。
水道パイプの使い方も、イメージがどんどん湧いて来ています。
振り返り
・子どもたちは、実施日(砂場で遊ぶ日)の遊びの姿がいつも違っていて、その日だけの単発な遊びに見えましたが、活動スケジュール(観察日)を追って連続して考察してみると、ひとつの経験が次の遊びのヒントとなっていることが感じられます。
・今回は、遊びのグループメンバーを日頃の友達関係を尊重して緩やかにしてみました。結果的に、自分のアイディアを言い易く、相手の意見も聞きやすく、遊びが自然体で展開されていました。アイディアも好きなように出し合えて、様々な気づきに繋がったように思います。
・子どもたちが自らやりたいと思い主体的に動けるような環境作りが重要だと感じている一方、保育者が子ども同士の対話に耳を傾け、思いをキャッチしながら適宜に道具を提供する対応が、子どもたちが自ら考え遊びがより持続することに気付きがありました。
今回は、年中組の子どもたちを中心に観察・記録しましたが、学年を越えてどんな関わり合いが出来るか、新たな視点で捉えていきたいです。そして、豊かな遊びがたくさん生まれることを願っています。